遊泳舎の本棚043『きんこん土佐日記』

みなさんが初めて新聞を読んだのはいつですか?

私は小学校1年生からです。といっても、当時読んでいたのは「高知新聞」に掲載されていた「りょうまくん」(1990年7月~2000年3月/著・杉本カズオ)という四コマ漫画だけ。学校に行く前にサッと読んで出かけるのがルーティンでした。その後、年齢とともに、テレビ欄やスポーツ欄、1面、コラム、地域欄といった具合に読む範囲が広がっていったと記憶しています。

今回の「遊泳舎の本棚」は、高知の地方新聞である「高知新聞」で2022年4月現在連載されている「高知県で暮らす金婚(結婚50年)を迎えた老夫婦」の日常を描いた四コマ漫画です。

著者の漫画家・村岡マサヒロさんは、高知県出身、高知県在住で祖父母、曾祖母との4世代同居という環境で育ったそうです。本書の最大の特徴は、土佐弁まる出しのセリフ回し。正直、高知で生まれ育った私でも、ここまでの土佐弁はあまり使ったことのないコテコテ具合なのですが、お年寄りを主人公にすることで違和感もなく、絵がついていることで県外の人にも意味が伝わりづらくないようになっています。なにより、この地元の人に親近感を抱きやすくさせていることは想像に難くありません。

以下は、標準語にすると「もう このふすまは とても 調子が悪い!」といったところでしょうか。

おおの
このふすまは
しょう
のうが悪い!

-P149200524 1コマ目」より


新聞での連載だけに時事ネタを織り交ぜた回もあります。2022年4月現在、第12巻まで発売されていますが、たとえば第1巻だと、2004年5月27日の回で韓国ドラマ「冬のソナタ」ブーム、同年8月17日に「アテネ五輪開催」を取り入れた作品などがあり、単行本で読み返すと当時の出来事を振り返ることができます。

私自身、高知にUターンしてきて3か月余り。10年以上の東京暮らしで失われていた紙の新聞を読む習慣が戻りつつあります。入口は、またしても「四コマ漫画」でした。ネットニュースばかりで最近、紙の新聞を読んでない方は、四コマ漫画から新聞復帰をしてみてはいかがでしょうか。

(文・中村徹

きんこん土佐日記(1)
著:村岡マサヒロ
発行:高知新聞社
ISBN:978-4-87503-165-3

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