恋愛や仕事、人間関係、心と体……。そんな現代人が抱える悩みに答えるのは、物語の世界から飛び出してきた“おひめさま”たち。「人生の主役」をつとめるアナタに、ヒロインとして物語の世界を生き抜いたお姫様が生き方のヒントを教えてくれる連載『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』。第1回は、恋愛にまつわるお悩みです。
回答者：人魚姫
国：デンマーク／出典：『人魚姫』
（あらすじ）
人魚姫は王子に一目惚れし、溺れる王子を浜辺まで運んで助けたが、娘がやってきたのであわてて隠れる。王子は娘に助けられたと勘違いして恋仲になってしまった。人魚姫は王子と会うため美しい声と引き換えに人間になったが、王子が自分以外と結婚したら消えてしまう呪いにかかる。王子と娘の結婚が決まり、姫は「王子を殺せば助かる」とナイフを渡されるが、愛ゆえに殺せず海へ身を投げ、泡となり消えた。
お悩み：浮気され、振られました。恋人のことも、浮気相手のことも許せません。
人魚姫の回答：怒りは立ち直りの第一歩。負の感情を受け入れれば、涙が光に変わります。
さぞかしおつらいでしょう。今は怒りや悲しみで希望の光が見えず、苦しい気持ちでいっぱいですよね。私も王子様が結婚すると聞いたときは、悲しみに溺れてしまいました。
でも、今あなたが「許せない」と思っているなら、すでに立ち直りの一歩を踏み出しています。人は【否認→怒り→あきらめと受容→希望】という順番で立ち直るのです。事実を否認していると、いつまでも立ち直れません。恋人が浮気した事実を拒絶せずにきちんと認めているから怒りを感じ「許せない」と思うのです。そのうえで自分の心と向き合っている。あなたはとても強く、立派です。
今は怒りに身を焼かれるようでも、どうかそっと胸に手を当てて「なぜ怒っているのか」を考えてみてください。怒りの根っこには「彼を信じたかった」「真摯に愛してほしかった」といった無垢な願望がありませんか？ 怒りの本質は、自分の願いが叶わなかった悲しみです。そう思うと、少し感情のトゲが和らぎます。
あなたは悲しんでいいのです。自分の感情を無理に押し殺したり否定したりせず、言葉や涙にして遠慮せず吐き出してください。信頼できる友達に打ち明けたり、失恋ソングを聞いて号泣したり、ノートに今の気持ちを思うまま書き出したりして、感情を自分の外に出しましょう。吐き出すことで怒りや悲しみが和らぎ「本当はどうしたいか」が見えてきます。
負の感情もあなたの一部。あなたは悲しみ、怒っているのです。その事実をまるごと受け入れるだけで、呼吸しやすくなります。これが立ち直りの３歩目【あきらめと受容】です。しょうがないとあきらめ、傷ついている自分をまるごと受け入れた先に、希望の光が差し込みます。
自分の立ち直る力を信じてください。私にはそれができませんでした。事実を、悲しみを受け止められず、海の底へ逃げてしまったのです。一時的な絶望で希望を殺してはいけません。希望は絶望の先にあります。涙の海を越えて、光の国に行きましょう。そのすばらしい二本足で立ち上がり、一歩踏み出してください。さあ、前へ。
怒りの根にあるのは悲しみ。怒りに溺れると希望を見失います
他にもさまざまなお悩みに、お姫様たちが答えています！
『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』
文：秋カヲリ／絵：momomosparkle
定価：本体1600円＋税
判型：四六判変形（ソフトカバー）
頁数：240P
発売日：2021年7月16日
ISBN：978-4-909842-08-4
《Kindleにて無料お試し版を配信中！》
秋カヲリ（あき かおり）
1990年、茨城県生まれ。東京女子大卒、都内在住。ADHDのパンセクシャルで、作家・ライター・コピーライター・心理カウンセラーとして活動する一児の母。恋愛依存、育児鬱を経験し、心理学を生命線にして今に至る。ADHDゆえに受験勉強や会社員生活などのルーティーンが極端に苦手で、ITベンチャー・広告代理店・化粧品メーカー・社史制作会社を転々とするが、いずれも1年前後で退社した会社員不適合者。感情や思考を整理できる執筆が精神安定剤で、幼少期から偏愛し生業にする。女の生きづらさやADHDの不適合感とうまく付き合うため心理カウンセリングを実践し、現代女性のゆらぐ心を支えるコラムを多数執筆している。
Twitter: @hagiwriter
Instagram: @akikawori
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momomosparkle（もももすぱーくる）
ハッピーでポップなイラストが特徴のバイリンガルイラストレーター・漫画家・エッセイスト。小さな頃から多様な文化に触れながら育ち、カリフォルニアでアートとアニメーションを学んだ後、女子美術大学を卒業。人と話すのが大好きで、かわいいものやおいしいもの、新しいものに目がない THE・てんびん座。著書に『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』(柏書房)がある。挿絵やウェブ漫画のほか、ドラマレビューやコラムも人気。
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