恋愛や仕事、人間関係、心と体……。そんな現代人が抱える悩みに答えるのは、物語の世界から飛び出してきた“おひめさま”たち。「人生の主役」をつとめるアナタに、ヒロインとして物語の世界を生き抜いたお姫様が生き方のヒントを教えてくれる連載『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』。第6回は、家族にまつわるお悩みです。
回答者：玉依姫
国：日本／出典：『日本書紀』など
（あらすじ）
初代天皇である神武天皇の母で、豊玉姫の妹。海神族の祖先、龍神でもある。姉の豊玉姫が出産中の姿を夫に見られ、父の宮殿に帰ってしまったので、代わりに姉の子ども・ウガヤフキアエズを育てた。やがて成長したウガヤフキアエズと結婚し、四子を産む。子どもの名前は上からイツセ・イナヒ・ミケヌ・ワカミケヌで、ワカミケヌが神武天皇になった。
お悩み：育児が大変で楽しいと思えず、イライラして強く叱ってしまいます。
玉依姫の回答：完璧な親なんてどこにもおりませんわ。義務感や期待を手放し、できない前提で自分と子どもを育てましょう。
育児は余裕がなくて当然でございますわ。多くの親が「〜しなきゃ」という強い義務感を背負い、まわりと比べて同調圧力に苦しんでおります。でも、あなたのイライラは自分にもお子さんにも悪影響でございますわ。お子さんは不安になり、あなたの「〜しなきゃ」思考も無意識に吸収して、同じ葛藤を抱くようになるのでございます。あなたの親御さんも義務感が強かったのかもしれません。「できなくてもしょうがない」と言い聞かせ、ご自身を義務感から解き放ってくださいまし。今日はそのヒントをお伝えします。
うまくできない自分にうんざりして自己嫌悪に陥ったら、他人事だと思ってください。あなただって、ご友人の大失敗には「大丈夫だよ」と仰いますでしょう。客観視すれば大抵の出来事は挽回できますし、大したことございませんわ。私の姉なんて息子を置き去りにしてしまって、私が代わりに育てたんでございます。とんでもない話ですけど、今ではだれも気にしておりませんわ。意外とそんなものなのです。
ネガティブな言葉にもお気をつけくださいまし。「イライラする」「忙しい」「疲れた」「うるさい」「ダメ」など、ネガティブな言葉は心を削るのでございますわ。面倒でも「やっちゃおう！」、頼まれたら「頼られているんだ」、疲れたら「やりきった」など、ポジティブな言葉で受け入れればイライラが和らぎますわ。
子どもにイライラしたら、あなたが子どもをコントロールしようとしている証。過度な期待を手放し、適度なあきらめを持ってくださいまし。子どもは親の期待に応えるために生きているのではございません。親も子も対等で、親は子どもの自立をサポートするだけ。そう思えば、苛立ちも多少は和らぐのでございます。
どうか完璧であろうとなさらないでくださいまし。育児は完璧にできなくて当たり前でございますわ。自分すらコントロールするのは難しいのに、自分以外を、ましてや子どもを思い通りに育てられるわけございません。１００％うまくいくと思わず、アクシデントや失敗ありきでゆるりと楽しんでくださいまし。
親だって成長中で、まだまだ発展途上なのでございますわ。あせらず気負わず、お子さんと一緒に成長して参りましょう。
親だって発展途上人。子どもと一緒に成長すればいいのです
他にもさまざまなお悩みに、お姫様たちが答えています！
『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』
文：秋カヲリ／絵：momomosparkle
定価：本体1600円＋税
判型：四六判変形（ソフトカバー）
頁数：240P
発売日：2021年7月16日
ISBN：978-4-909842-08-4
秋カヲリ（あき かおり）
1990年、茨城県生まれ。東京女子大卒、都内在住。ADHDのパンセクシャルで、作家・ライター・コピーライター・心理カウンセラーとして活動する一児の母。恋愛依存、育児鬱を経験し、心理学を生命線にして今に至る。ADHDゆえに受験勉強や会社員生活などのルーティーンが極端に苦手で、ITベンチャー・広告代理店・化粧品メーカー・社史制作会社を転々とするが、いずれも1年前後で退社した会社員不適合者。感情や思考を整理できる執筆が精神安定剤で、幼少期から偏愛し生業にする。女の生きづらさやADHDの不適合感とうまく付き合うため心理カウンセリングを実践し、現代女性のゆらぐ心を支えるコラムを多数執筆している。
Twitter: @hagiwriter
Instagram: @akikawori
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momomosparkle（もももすぱーくる）
ハッピーでポップなイラストが特徴のバイリンガルイラストレーター・漫画家・エッセイスト。小さな頃から多様な文化に触れながら育ち、カリフォルニアでアートとアニメーションを学んだ後、女子美術大学を卒業。人と話すのが大好きで、かわいいものやおいしいもの、新しいものに目がない THE・てんびん座。著書に『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』(柏書房)がある。挿絵やウェブ漫画のほか、ドラマレビューやコラムも人気。
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