みなさんは、子どもの頃に友達から何と呼ばれていましたか? 私は普通に名前で呼ばれることが多かったので、「ニックネーム」がある友達が羨ましかったことを覚えています。
また、パリを「花の都」、サッカーの三浦知良選手を「キング・カズ」と呼ぶなど、誰もが知っている物や人に対するキャッチコピーとも言える「異名」もカッコイイですよね。
今回ご紹介するのは、人名や地名、動植物など、あらゆるものの「異名・ニックネーム」を紹介した辞典です。
688ページとボリュームのたっぷりの本書に収録されている異名・ニックネームの数は、なんと1万2000以上。人物だけでも「坂本龍馬」や「バッハ」などの歴史上の人物はもちろん、「鈴木福」「島崎遥香」のように近年活躍しているタレントまで幅広く網羅しています。
各項目では、概略、異名、由来が記載されており、どんな理由でその異名になったのかを知ることができます。その中には誰もが知っている定番の異名もあれば、「この人にこんな異名があったの!?」と驚くようなマニアックなものまで様々です。
坂本龍馬(さかもとりょうま)
本文中より
1836-1867 江戸時代末期の志士。
【幕末の風雲児】混乱した幕末期、薩長同盟や大政奉還の成立など、無血での討幕を実現するために奔走した。
鈴木福(すずきふく)
本文中より
2004- 俳優。
【子役界のドン】二歳から仕事を始め、二〇一三年に九歳で映画『コドモ警察』で主役のボス役を演じるなど貫録を見せたことから。
また、巻末の索引では、異名から人物や地名などの項目を引くことができ、「魔術師」で引くと、「ターフの魔術師」「ライン際の魔術師」など、「魔術師」を異名に持つ項目を一気に探すことができるのも便利です。
膨大な情報量をまとめ、使いやすい本に仕上げている点に、「国語辞典」を長年作っている三省堂ならではの編集力を垣間見ることができますね。雑学を楽しむ本として、様々な創作やキャッチコピーを考えるための参考資料として、手元に置いておきたいユニークな辞典です。
(文・中村徹)
『異名・ニックネーム辞典』
編:杉村 喜光
発行:三省堂
ISBN:978-4-385-13721-6