第2回 進化を続ける本の金券「図書カード」

・第1回 「書籍」と「雑誌」って何が違うの?


書店では、春になると増えるお客様からのお問い合わせがあります。その一つが図書カードに関するお問い合わせです。

「孫の進学祝いなのよ」と嬉しそうなご婦人や「何あげればいいか分からねえのよ」とぶっきらぼうに話す紳士、小学校のPTAの親御さんなど、多くの方々が図書カードを必要とされます。「子供に本を読んで欲しい」と図書カードを贈る文化は、今でもなくなっていないんだな、と春は書店員として嬉しく感じる季節でもあります。

今回はそんな図書カードについてご説明させていただきます。

◆「図書券」から「図書カード」、そして「図書カードNEXT」へ。

そもそも「図書カード」とは日本図書普及株式会社が発行している、日本全国の書店で使うことができる金券を指します。

まず、1960年に発行が開始された商品券タイプが「図書券」です。ご年配のお客様から「図書券買いたいんだけど」とお問い合わせいただくことも少なくありません。こちらは現在発行が終了しておりますが、やはり歴史も長く、年配のお客様には馴染み深いものなのでしょう。

次が1990年に発行開始となった磁気カードタイプの「図書カード」です。テレフォンカードやクオカードと同じタイプの金券で、カード内の残額に合わせて穴が開くのが印象的です。おそらく、多くの読者が、最もイメージされるのはこちらのカードではないでしょうか。しかし、実はこの図書カードも、すでに発行終了となっているのです。

そして、現在書店で販売しているのが、2016年に発行が開始されたQRコード付きの「図書カードNEXT」。このカードは、裏面のQRコードを読み込むことで残額の引き落としをする仕様です。従来の磁気カードとの違いとして挙げられるのは、使ってもカードに穴が開かない点。そして、カードの残額が会計時に印字されるレシート、またはカード裏面のQRコードをスマートフォンで読み込むことで確認できる点です。また、磁気を使わないので時間の経過で磁気が弱って使えなくなる、などという問題がないようになっています。

◆使用の可否、残高の確認など、ご不明な点は書店員まで。

図書カードに関するお客様からのお問い合わせで多いのが「この図書カードの残高いくらありますか?」「この図書券ってまだ使えます?」や「お釣りは出ますか?」といった内容です。

図書カード、図書カードNEXTの残高は、書店のレジですぐに確認することが可能です。

図書券、図書カードには使用期限がありませんので、現在でもお使いいただけます。一方、図書カードNEXTには10年の有効期限が設定されていますので、お気をつけください。図書カードは磁気が弱まると読み込みができなくなりますが、書店でご案内する封筒に同封して発行元である日本図書普及株式会社へお送り頂くと、同じ額が入った新しい図書カードとご交換いただけます。

基本的に図書券は、お釣りが出ません。そのため、額面以上の商品をご購入いただくことをオススメします。図書カード、図書カードNEXTは1円単位で残高が残りますので、次回のお買い物の際にご利用いただけます。

もし、ご自宅に眠っている図書カードがございましたら、それを手にぜひ書店までお越しくださいませ。その一冊がみなさんの人生を豊かにするかもしれませんよ。

セロ弾きの書店員(せろひきのしょてんいん)
何となくバイトとして書店業界に入って気付いたら3店舗目、気付いたら社員になっていた。雑誌担当。文芸書担当を兼任していた際、遊泳舎の書籍に出逢い惹かれる。すぐに職場を辞めて遊泳舎に転職したいと言いはじめるため、書店名は明かせない。

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