第3回 書店に関わるすべての方の協力で成り立っている営業再開。 ~コロナ禍書店奮闘記①~

・第1回 「書籍」と「雑誌」って何が違うの?
・第2回 進化を続ける本の金券「図書カード」


営業再開してやっと落ち着いて来ました。書店によっては営業時間も時短営業から通常営業に戻るなど、表面上は徐々にいつも通りの日常が戻ってきているような感じがします。でもやっぱり売り場に立っているとまだまだいつもとは違うんだとはっきり分かるのです。

営業再開直後は待っていてくださっていたお客様がたくさんいらっしゃいました。たくさん声をかけていただいて本当に励みになりました。それから数週間経って毎日平和だなぁという感じの店内です。配架作業はとても捗りますが、やっぱり少し寂しいです。いつもご来店していただけるお客様のために、また安心して本を買いに来てもらえるようにと、私がいるお店でも営業再開に際していろいろと徹底されました。

書店ならではの感染症対策も行っています。

まず多くの販売業で行っているような、営業時間の短縮やアルコール消毒液の設置をはじめ、お金やカードのやりとりはすべてトレーを介して行い、お会計時の接触削減に努めています。

また、書店ならではの工夫もあります。店舗にもよりますが、お会計の時短化と接触削減のためにカバーをお付けしない、もしくはお渡しするだけというところもあります。他にもお客様同士や、お客様とスタッフの接触を避けるために配架作業中は手袋をする、店内の付録付き雑誌の見本は置かない、お問い合わせ、サービスカウンター自体を閉めている、なんてところもあります。

 しかし、新しい生活様式に慣れることは、書店員もお客様も一朝一夕でできるわけではありません。

お客様を含めた、すべての方々の協力に感謝。

先日、配架作業中にお会計が終わったご夫婦のお客様が「カバーかけてくれなかったのよ」「コロナにかこつけて楽をしてるだけなんじゃないか」と会話されてるのが聞こえてきました。お客様には大変ご不便をおかけしていますし、実際、わたし個人の考えとしては「本を探してもらえない書店なんてありえない」という思いもあります。けれどお客様とスタッフを守るためには仕方がないことなのです。どうかご理解下さいませ。

ご不便をおかけしているのは、お客様に対してだけではありません。書店には出版社の営業担当の方が日々新刊の営業などをしにやってきます。しかし、それも可能な限り電話やメールでの対応に変更していただいております。

さらにはサイン会など著者さんや出版社、多くのお客様が関わるようなものはイベントを中止とするなど、とにかく書店に関わる人みんなを守るべく、私たち書店員も含め、すべての方々にご協力をいただいている状況です。

本との出会いや、サイン会などのイベントを通した体験を提供できるという「ただ本を買うだけではない」書店の強みが発揮できない今日。コロナの影響は書店にも色濃くでています。また何不自由なく、お客様に本との出会いを提供できる日常が戻ることを願って、今日も書店でみなさまをお待ちしております。

セロ弾きの書店員(せろひきのしょてんいん)
何となくバイトとして書店業界に入って気付いたら3店舗目、気付いたら社員になっていた。雑誌担当。文芸書担当を兼任していた際、遊泳舎の書籍に出逢い惹かれる。すぐに職場を辞めて遊泳舎に転職したいと言いはじめるため、書店名は明かせない。

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