恋愛や仕事、人間関係、心と体……。そんな現代人が抱える悩みに答えるのは、物語の世界から飛び出してきた“おひめさま”たち。「人生の主役」をつとめるアナタに、ヒロインとして物語の世界を生き抜いたお姫様が生き方のヒントを教えてくれる連載『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』。第3回は、人間関係にまつわるお悩みです。
回答者:夜長姫
国:日本/出典:『夜長姫と耳男』
(あらすじ)
長い耳の青年・耳男は「夜長姫の護身仏を彫れ」と命じられる。姫は、耳男の馬顔と耳を馬鹿にして、耳を奴隷に切り取らせた。耳男は姫を憎み、姫の護身仏を馬顔の化け物にしたが、姫は気に入ったと言う。姫は疫病で人が死ぬと喜び、耳男に蛇を吊るさせた。「姫は村人の死を願っている」と気づいた耳男は、姫を抱きしめて刺す。姫は「好きなものは呪うか殺すか争うかしなきゃ。今、私を殺したように」と言い残し、笑って死んだ。
お悩み:昔から仲が良かった友人と馬が合わなくなってしまい、今後の付き合いに悩んでいます。
ふき姫の回答:人間関係にも新陳代謝は必要。今の自分に合う人といっしょにいればいいの。
その人と疎遠になることに抵抗があるのね。親密だった相手と距離を置くのは忍びないし、誘いも断りにくいけど、それとなく距離を置きましょう。「用事がある」と言って断ったり、あっさりした返信をしたりすれば、はっきり言わなくてもだんだん疎遠になるの。
人間関係は日々移ろうもの。学生時代にすごく仲が良かった友人でも卒業してから疎遠になったり、結婚・出産のタイミングでぱったり会わなくなったりするじゃない? むしろ疎遠になる人のほうが多いのよね。何かを捨てなきゃ新しいものは入ってこないから、人間関係を健やかに保つためにも、新陳代謝は必要よ。
学生時代にお気に入りだった服が今の自分には合わないように、これまでの人間関係が合わなくなるのは自然なこと。服のサイズも色も素材も一切変わっていないのに、今の自分には合わないのよね。なぜかって、あなたが日々変化しているからよ。もしかしたら相手も変わったのかもね。
馬が合わなくなったとき「相手が悪い」「自分が悪い」と思うとしんどくなるから、単に相性の問題だと考えて。どちらかが悪いのではなく、今の自分と今の相手が合わなくなっただけ。今までの関係性が溶けてなくなるわけじゃないのよ。またしばらくしたら相性が良くなるかもしれないし「おしまい」じゃなくて「1回休み」だと思えばいいの。ご縁があればまた交わるから、気にしすぎないことね。
それに、人間関係って量じゃなくて質なの。会う頻度や話す時間より、愛情や信頼、理解が大事。小学生時代からの幼馴染より、1か月前にバーで知り合った飲み仲間のほうがわかり合えることもあるでしょ。ずっと同じ人とだけ会っていたら心が古くなっちゃうから、十人十色の刺激を受けて、自分を日々アップデートして。
私は父の病を治すために泉の水を汲みに行ったのに、泉の精に魅せられて彼とずっといっしょにいる人生を選んだの。それ以来父には会ってない。「親不孝な薄情者だ」って言われるけど、それでもいいの。今の私が望むのは、彼と二人だけの人間関係だから。私の人生だもの、私が過ごしたい人といっしょにいるの。
あなたがいっしょにいたい人はだれ?
古いものを捨てれば新しいものが入ってくる。合わなくなった人間関係は脱ぎ捨てて
他にもさまざまなお悩みに、お姫様たちが答えています!
『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』
文:秋カヲリ/絵:momomosparkle
定価:本体1600円+税
判型:四六判変形(ソフトカバー)
頁数:240P
発売日:2021年7月16日
ISBN:978-4-909842-08-4
秋カヲリ(あき かおり)
1990年、茨城県生まれ。東京女子大卒、都内在住。ADHDのパンセクシャルで、作家・ライター・コピーライター・心理カウンセラーとして活動する一児の母。恋愛依存、育児鬱を経験し、心理学を生命線にして今に至る。ADHDゆえに受験勉強や会社員生活などのルーティーンが極端に苦手で、ITベンチャー・広告代理店・化粧品メーカー・社史制作会社を転々とするが、いずれも1年前後で退社した会社員不適合者。感情や思考を整理できる執筆が精神安定剤で、幼少期から偏愛し生業にする。女の生きづらさやADHDの不適合感とうまく付き合うため心理カウンセリングを実践し、現代女性のゆらぐ心を支えるコラムを多数執筆している。
Twitter: @hagiwriter
Instagram: @akikawori
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momomosparkle(もももすぱーくる)
ハッピーでポップなイラストが特徴のバイリンガルイラストレーター・漫画家・エッセイスト。小さな頃から多様な文化に触れながら育ち、カリフォルニアでアートとアニメーションを学んだ後、女子美術大学を卒業。人と話すのが大好きで、かわいいものやおいしいもの、新しいものに目がない THE・てんびん座。著書に『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』(柏書房)がある。挿絵やウェブ漫画のほか、ドラマレビューやコラムも人気。
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