遊泳舎の本棚 007『いとしの印刷ボーイズ』

仕事柄、どんな本をよく読むのかを聞かれることがあります。制作中の書籍の参考資料や新企画のアイデアに繋がりそうな本なども読みますが、個人の趣味で読む本で圧倒的に多いのは漫画です。

今回は、出版関連の仕事に携わる人には特にオススメしたい、印刷の知識が身に付く漫画『いとしの印刷ボーイズ』をご紹介します。

中堅印刷会社「ナビ印刷」を舞台に、主人公である営業担当の刷元(スリモト)らが、印刷のトラブルに巻き込まれながらも乗り越えていくストーリーです。個性的な登場人物と、テンポの良い展開で、純粋に漫画として楽しめる本であることはもちろんですが、元印刷会社の営業マンという著者が描き出す印刷の知識や、印刷業界あるあるなどが多分に盛り込まれており、私自身も楽しみながら印刷の基礎知識を学ぶことができました。

さらにCMYKをモチーフにした装丁であったり、目次などにトンボがついてあったりと業界関係者にはお馴染みの、一般読者には普段見ることのできないような遊びが施されており、本全体に著者自身の印刷業界への愛が感じられます。

印刷会社には本当にたくさんの「面白い人たち」がいます。なかなか表にでることはないけれど、個性豊かな人たちです。印刷会社を舞台にしたマンガを始めることになった時、僕はそんな彼らを描いたいと思いました。

「はじめに」より引用


印刷、出版の業界関係者や興味の持つ、すべての人が読むべき、楽しんで学べる印刷エンターテインメント漫画です。本づくりの最後の最後の過程を担ってくれている印刷会社。彼らの存在があってこその本づくりだということを、あらためて実感させられます。

(文・中村徹

いとしの印刷ボーイズ
著: 奈良裕己(BOMANGA)
発行:学研プラス
ISBN:978-4-0540-6641-0


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