恋愛や仕事、人間関係、心と体……。そんな現代人が抱える悩みに答えるのは、物語の世界から飛び出してきた“おひめさま”たち。「人生の主役」をつとめるアナタに、ヒロインとして物語の世界を生き抜いたお姫様が生き方のヒントを教えてくれる連載『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』。第2回も、恋愛にまつわるお悩みです。
回答者：鶴見の姫
国：日本／出典：『ききょう物語』
（あらすじ）
鶴見山の精である姫と由布山の精は幼い頃から仲が良く、由布は姫と結婚したいと思っていた。ところが九住山の精が姫に一目惚れし、求婚。初めて男性から口説かれた姫は了承してしまう。すると、由布からキキョウの花と「故郷を忘れないでくれ」という手紙が届き、いつも優しかった由布のことを思い出す。姫はそのまま裸足で由布のもとへ駆けていき、由布と永久に結ばれた。
お悩み：今の恋人にときめかず、このまま付き合い続けていいのか悩んでいます。結婚と恋愛は違うと言いますが、愛にときめきは不要でしょうか？
鶴見の姫の回答：ときめきには賞味期限がありますの。恋人の存在をまるごと受け入れられるか考えるんですのよ。
アラサー女性のあるあるですね。私も、ずっとやさしくしてくれた由布がいながら、一瞬のときめきに揺らいでしまった人間ですの。由布からはドキッとするようなアプローチが一切なく、ふらりとやってきた旅の方から情熱的に告白され、すっかり心を奪われてしまったんですのよ。結局、やさしい由布のもとへ戻りましたが……。
「そもそも恋愛と結婚は違うのか」という問いは、イエスでもあり、ノーでもあります。恋愛も結婚も根っこにあるのは愛情ですが、恋愛は求め合い、結婚は許し合いですの。恋愛は短期的にも楽しめますが、結婚は長期的に日々を紡いでいくもの。命の果てまで連れ添う相手とずっと求め合うのって疲れませんこと？ どんなに愛しくても魂が違う者同士、自分とは違う意見を受け入れ、許し合わなければ心地よく添い遂げることなどできません。これは結婚という形に限らず、あらゆる愛に通ずることですの。
ときめきには賞味期限があるんですのよ。身を焦がすような熱情も、息苦しくなるほどの恋心も、大体１年〜１年半で落ち着きます。恋は盲目といいますが、盲目な期間にはタイムリミットがあるということ。ときめきの魔法から覚め、冷静になって相手を見たとき、かけがえのないパートナーだと思えるでしょうか。今までときめいた相手が、運命の相手だったことはありますか？ ときめきは持続しましたか？ おそらくＮＯですよね。恋の輝きは永遠のダイヤモンドではなく、刹那の花火なのです。
あなたが末永く続く愛を望むなら、ときめく行為をしてくれる相手は恋にぴったりですが、末永く続く愛を望むなら存在をまるごと受け入れられる相手を選ぶんですのよ。「この人が存在しているだけでうれしい。いっしょにいられるだけで幸せ」と思える相手です。「そんな夢みたいな相手、見つかるの？」と思うかもしれませんが、あなたが見返りを求めずに愛せる人になれば自然と現れます。相手も同じようにあなたをまるごと愛しているならおしどり夫婦の誕生です。
もちろん、身も心も焦がすアバンチュールに酔いしれたいなら、ときめきを追い求めていくつもの恋を渡り歩くのも一興。あなたの好きな道を選んでくださいね。
ときめきの魔法が解けたとき、ありのままの相手を愛せますの？
他にもさまざまなお悩みに、お姫様たちが答えています！
『57人のおひめさま 一問一答カウンセリング 迷えるアナタのお悩み相談室』
文：秋カヲリ／絵：momomosparkle
定価：本体1600円＋税
判型：四六判変形（ソフトカバー）
頁数：240P
発売日：2021年7月16日
ISBN：978-4-909842-08-4
秋カヲリ（あき かおり）
1990年、茨城県生まれ。東京女子大卒、都内在住。ADHDのパンセクシャルで、作家・ライター・コピーライター・心理カウンセラーとして活動する一児の母。恋愛依存、育児鬱を経験し、心理学を生命線にして今に至る。ADHDゆえに受験勉強や会社員生活などのルーティーンが極端に苦手で、ITベンチャー・広告代理店・化粧品メーカー・社史制作会社を転々とするが、いずれも1年前後で退社した会社員不適合者。感情や思考を整理できる執筆が精神安定剤で、幼少期から偏愛し生業にする。女の生きづらさやADHDの不適合感とうまく付き合うため心理カウンセリングを実践し、現代女性のゆらぐ心を支えるコラムを多数執筆している。
Twitter: @hagiwriter
Instagram: @akikawori
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momomosparkle（もももすぱーくる）
ハッピーでポップなイラストが特徴のバイリンガルイラストレーター・漫画家・エッセイスト。小さな頃から多様な文化に触れながら育ち、カリフォルニアでアートとアニメーションを学んだ後、女子美術大学を卒業。人と話すのが大好きで、かわいいものやおいしいもの、新しいものに目がない THE・てんびん座。著書に『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』(柏書房)がある。挿絵やウェブ漫画のほか、ドラマレビューやコラムも人気。
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