「欲しい本が置いてない」を理由に本との出会いをあきらめないで

先日、遊泳舎のWebサイトでこれまで注文をくださった書店のリストを公開しました。

星の数ほどある本の中から、出会って、買って、自室の書棚に収まるというのは、奇跡だと思います。ですが、SNS上で「○○って本が欲しいけど、近所の本屋さんには置いてなかった」という書き込みを見かけたり、知り合いに「遊泳舎の本を買いたいけど、どこの書店にあるの?」と聞かれたりすることも少なくありません。せっかく「欲しい」と思ってもらえたのに、手に入れる方法がわからずにあきらめてしまう人がいたら、寂しいですよね。

今回は、本の探し方、買い方について読者の皆様に知って欲しいことについて書いてみます。

すべて人に知ってほしい!本は書店で「取り寄せ」ができる

僕は遊泳舎の本がどこで買えるか聞かれた場合、「ぜひ、近所の書店で取り寄せ注文をして欲しい」と答えるようにしています。そう、本は書店で取り寄せができるのです。このことを知らない、知ってはいるけど使ったことはない、という人が意外と多いと感じています。

もちろん、過去に注文を受けて本を置いてもらっている書店の中から、その人の近所や仕事場の近くの書店も教えますし、Amazonなどのネット書店でも購入できることも伝えます。ですが、書店の在庫状況は本が売れたり、返本されたりと流動的なので、過去に注文があったからといって今も在庫があるとは限りません。

なので、地元の本屋さんを応援する意味でも、取り寄せをオススメしているのです。ちなみに、書店で本を取り寄せて購入することを、業界用語で「客注」といいます。お客さんが決まっている注文という意味です。

書店で客注をするのに必要な情報

書店で本の取り寄せをしてもらう場合には、「ISBN」がわかっているとベストです。ISBNとは「インターナショナル・スタンダード・ブック・ナンバー」の略称で、世界共通の登録番号です。書店や出版社は、このISBNで本を判断しているので、これがあれば正確に本を注文することができます。ISBNは、出版社のWebサイトなどで確認することができます。

たとえISBNがわからなくても、正式な「書名」と「出版社名」くらいは確認しておきましょう。曖昧な情報だと書店員もどの本を取り寄せればいいのかわからなくなります。

僕自身、書店から「お客さんが○○みたいな内容の本を探しているのですが、お宅の出版社から発売されてますか?」といった書店からの客注電話を受けた経験が何度もあります。もちろん、心当たりのあるタイトルなどを言って確認してもらいますが、似たタイトルの本は結構いっぱいありますし、別の出版社の本であれば同じタイトルの本もあり、内容もわからないので、お手上げです。

新聞や雑誌などで紹介されている本を注文したいときは、その切り抜きや写真などを持っていくとスムーズです。また、取り寄せるにあたって、読者が負担する送料や手数料などはありません。

書店にも出版社にも喜ばれるのに、なぜ客注の認知度が上がらないのか

このように客注は目的買いをする読者にとって、とても便利なシステムですし、確実に売れる注文なので、出版社や書店にとっても非常に嬉しい注文です。しかし、冒頭でお話ししたように、読者への認知度はそれほど高くないように思えます。

客注が読者に定着しない大きな理由は、注文してから書店に本が届くまで時間がかかるからです。現在、日本の出版流通は、ほぼすべて取次と呼ばれる出版流通会社を経由して行われています。この場合、書店が本を頼んでから届くまで、1週間以上かかるケースが珍しくありません。地域によっても差はあるのでしょうが、2週間経ってようやく届いたという話も聞いたことがあります。出版社から取次までは1~2日で出荷しているので、その後に時間がかかっているようです。

取次もある程度、独自に在庫を持つなど、スピード配送に取り組んではいるのでしょうが、現代はすべてにおいてスピード化が求められる時代。本を一冊取り寄せるのに、そんなにも時間が掛かってしまっていては、取り寄せ注文のサービスを利用する人が増えないのも、自然な流れなのかもしれません。

遊泳舎の本は、最短で翌日に書店まで本が届く

遊泳舎は書店との直取引をメインにした出版社です。流通は直取引代行をしているトランスビューにお願いしています。トランスビュー扱いの本は宅配便やメール便などで書店に直送しているため、最短で翌日に本を届けることができます。

ただし、トランスビュー流通を扱っていない書店の場合、取次ルートでの出荷になりますので、本が届くまで多少の時間が掛かる可能性があります(取次ルートは買切・返品不可です)。

本との出会いは一期一会。欲しいと思ったときに買えなければ、次の機会がないことの方が多いものです。気になった本と出会ったときは、ぜひ取り寄せ注文をしてみてください。

(文・中村徹

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