遊泳舎の本棚 026『印刷ボーイズは二度死ぬ』

インターネット全盛の昨今、情報は紙ではなくWeb上で見ることが多くなってきました。しかし、編集者の性なのか紙でできた“印刷物”を見るとワクワクしてしまいます。

今回は「遊泳舎の本棚007」で、ご紹介した『いとしの印刷ボーイズ』(著・奈良裕己)待望の続編です。

今回のタイトルは『印刷ボーイズは二度死ぬ』。前作同様、中堅印刷会社「ナビ印刷」の営業マンとして働く主人公・刷元(スリモト)が、さまざまな印刷トラブルに巻き込まれながら奮闘する姿を描いた「印刷漫画」です。

前作からの常連キャラクターである、後輩営業マンの沖田や印刷工場の技術者・赤羽などに加えて、さすらいのPD(プリンティングディレクター)匠や、クライアントのカリスマファッションデザイナー・GOKOなど、たくさんのキャラクターが登場し、それぞれの個性が魅力的に描かれています。

また、ライバルとして大手印刷会社「帝王印刷」との戦いは、物語としてのスケールが前回より大幅にアップされているのも見どころです。

印刷会社での勤務経験がある著者が描き出す物語と印刷知識が一緒になることで、印刷の「あるある」がより身近に感じられ、楽しく学べます。

僕にとって、印刷に携わる「印刷ボーイズ」は、みんな戦友であり同志です。
だからこそ、Webでのマンガ連載をはじめる時、「ただの業界あるあるマンガにだけはしない」ということを念頭に置きました。

「はじめに」より


印刷ボーイズシリーズを読むと、編集者の手を離れた入稿、校了後も印刷会社の方々が頑張ってくれているおかげで本が出来上がっていることを感じさせられます。実際、私自身もお世話になっている印刷会社の方々とダブらせて読んでしまうくらい、物語に入り込める一冊です。

(文・中村徹

印刷ボーイズは二度死ぬ
著:奈良裕己
発行:学研プラス
ISBN:978-4-05-406742-4

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